歯周病

歯周病は、30代の人でも80%の人が疾患しているといわれており、放置すると歯がどんどん抜けてしまう恐ろしい病気で、脳卒中、呼吸器疾患、糖尿病など、全身の健康にも悪影響を及ぼすことがわかっています。歯周病菌は、お口の中の傷などから血管に侵入すると、わずか90秒で全身を駆け巡ってしまうというデータもあります。サイレントキラーとも呼ばれている歯周病は痛みもないままどんどん進行し、自覚症状が出るころには、かなり進行してしまっていることも少なくありません。

当院で行う歯周病治療

スケーリング・ルートプレーニング

スケーリングは、スケーラーという専用の器具を使って、日常のブラッシングでは取り切れない歯石や汚れを除去していくことをいいます。また、ルートプレーニングとは、歯茎の下の見えない歯石を除去し、歯の根の表面をつるつるになるように磨いていくことをいいます。根っこが凹凸だと、その部分に細菌が溜まりやすくなってしまうため、平らにして汚れをつきにくくします。スケーリングとルートプレーニングはセットで行うことが多く、歯周病治療を行う上で欠かせない治療です。

ぺリソルブ

ペリソルブは、スウェーデンで開発された歯周治療用薬剤で、歯垢(プラーク、バイオフィルム)・歯石だけに作用し、やわらかくすることができる画期的な薬品です。歯肉を傷つけることないうえ、刺激・副作用のある抗生物質を使用しないので、安心・安全に治療を行うことができます。

また、強力な殺菌力がありますので治療後の治癒も早く、歯茎の腫れも引きやすいというメリットがあります。

従来の治療法とぺリソルブの違い

従来、歯周病の基本治療として、歯の表面や歯周ポケット内の歯垢と歯石を除去する「SRP(スケーリング・ルートプレーニング)」と呼ばれる治療が行われてきました。
これらの治療は機械や専門の器具を用いて歯周ポケット内の歯垢・歯石に物理的にアプローチする方法のため、歯肉を傷つけてしまうことも多く、歯石の付着状況によってはどうしても痛みを伴うことが避けられないケースも多くありました。
しかし、ペリソルブを使うと硬い歯石を柔らかくすることができますので、弱い力で歯垢・歯石を除去することができ、その分痛みを感じさせない治療が可能となりました。

フラップ手術

歯周病が進行してしまった場合、歯周ポケットがとても深くなってしまうために、スケーリングやルートプレーニングでは歯周ポケットの奥にある歯石や汚れを除去することが難しくなってしまいます。そのような場合は、歯の根元付近にある歯石や汚れまで完全に除去するために、歯茎を切り開いて直視下で処置を行う外科治療(フラップ手術)を行います。

フラップ手術のメリット
  • 歯周ポケットの奥深くの歯石や細菌まで徹底的に取り除くことができる。
フラップ手術のデメリット
  • 手術後に歯茎が下がってしまい、知覚過敏を起こす可能性が生じる
  • 手術後のメンテナンスを怠ると、歯周病の進行スピードを加速させてしまう。
  • 手術後、麻酔が切れたときに痛みが生じることがある。

3DS法

3DS除菌法とは、専用の薬剤をマウスピースに注入してお口に装着することで虫歯菌や歯周病菌を除菌し、歯垢が定着することを集中的に抑える治療法です。虫歯や歯周病は、細菌による感染症。体質によっては「しっかりと歯磨きをしているのに、虫歯や歯周病になってしまう。」という方もいらっしゃいます。もともと虫歯や歯周病にかかるリスクが高い患者さまに対しては、この3DS除菌法による治療がとても効果的です。

このような方におススメです。
  • 毎日しっかりブラッシングしているのに、虫歯や歯周病になりやすいという方。
  • 歯並びが悪かったり、矯正治療中ですみずみまでブラッシングするのが難しい方。
  • 特に、歯の生え変わり時期のお子さまで虫歯の多い子。
  • 妊娠中、もしくは授乳中の方で、お子さまに歯周病菌や虫歯菌を母子感染させたくないお母さま。

PMTC

PMTCとは、「プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング」の略で、簡単に言うと歯科医院にて専用の器具を用いて行う歯の清掃のことです。ご自身の手で汚れ(プラーク)を毎日100%落とすのはとても難しく、どんなに綺麗に磨ける人でも歯ブラシのみで60%、デンタルフロスを使用しても85%程度までしかプラークを落とすことがでいないといわれています。

除去されずに残ってしまったプラークは、48時間後には「バイオフィルム」と呼ばれるヌルヌルとした薄い膜を形成。このバイオフィルムは歯ブラシなどで簡単に除去することが出来ないため、中でどんどんと細菌が繁殖し、歯周病や虫歯を引き起こし、進行させてしまいます。このような悪循環を防ぐためには、定期的に歯科医院にて専用の機械を用いてバイオフィルムを除去してあげる必要があります。

PMTCといっても、歯科医院によって内容やサービスは異なる

最近では「3カ月に1度はPMTCを受けましょう」と推奨する歯科医院も多くなり、PMTCという言葉もだいぶ普及したように思います。当院にも「PMTCを受けたいんですが…。」という患者さんからのお問合せが多くなってきました。ですが、ここで注意していただきたいのは、「PMTC」というのは特定の施術内容を指すものではなく、前途のように「歯科医院にて専用の器具を用いて行う歯の清掃」としてのみ位置づけられている処置のため、それを行う歯科医院によって施術の内容やサービスが大きく異なるという事です。PMTCを目的として歯科医院へお問い合わせをする際には、事前にHPなどでその内容を確認してからご予約されることをおススメします。