ボトックス治療
ボトックス治療とは、ボツリヌス菌から抽出されるたんぱく質の一種を過度に緊張している筋肉に注射することで、一時的に緊張をほぐす治療法です。
ボトックス治療は美容外科などでも広く取り扱われており、主には筋肉の過度な緊張が原因で生じるシワを改善したり、小顔治療などにも用いられております。歯科領域においては、ボトックスの持つ「筋肉の緊張をほぐす」という性質を利用して、歯ぎしり・食いしばり・顎間節症・ガミースマイルなどの治療に使用されます。
ボトックスは、このような症状に有効です
ガミースマイルの治療
ガミースマイルとは、笑ったときに歯茎の大部分が見えてしまう状態の事を言います。「思いっきり笑えない」「口を開けるのが恥ずかしい」という気持ちは、表情だけでなく、精神的にも大きな影響を与えてしまうもの。ガミースマイルがコンプレックスとなってしまっている人も少なくはないようです。
ガミースマイルになってしまう原因は人によってさまざまですが、「上唇を持ち上げる筋肉が強すぎるため、歯茎が見えすぎてしまう。」という場合にはボトックス治療が有効となります。
具体的には、上唇の上げ下げをコントロールしている「上唇挙筋郡」という筋肉にボトックスを注入することで過剰に上唇が引き上げられることを抑制し、歯茎が見えすぎてしまうことを防ぎます。ガミースマイルの原因によっては別の治療法をご提案させていただく場合がありますので、まずはご相談下さい。
歯ぎしり、食いしばりの治療
歯ぎしり、食いしばりとは、起きている時や寝ている時に無意識に歯を強く噛みしめたり、横にグリグリと動かしたりしてしまう生理現象のことを言います。歯ぎしりや食いしばりは、習慣化してしまうと歯に過度の負担とダメージを与え、歯が割れてしまったり、歯周病を悪化させる原因にもなってしまいます。また、歯ぎしりや食いしばりといった症状を抱えている患者さまは、咬筋(主に食べ物を噛む時になどに使われる筋肉)が過度に緊張し、必要以上に発達している傾向があります。咬筋の肥大は、ほおっておくと顎の痛みや血行不良、ストレス、頭痛、肩こり、エラ張り、むくみなど、さまざまなトラブルを引き起こしてしまうため、このような場合においてもボトックス注射により緊張をほぐし、症状を緩和してあげることが有効となります。
ボトックス治療の流れ
- かみ合わせやお口の中の状態をチェック
- 施術個所のみ、メイクを落としていただきます。
- 表面麻酔を塗ってから、該当箇所にボトックス注射を打ちます。
- 注射後3~7日程度で効果が現れ、約4~6か月間効果が持続します。
ボトックス治療に関するよくある質問
Q. | ボトックス治療には、どのくらいの時間がかかりますか? |
A. | 施術時間は約10分程度で終了します。 |
Q. | 注射をする際、痛みなどはありますか? |
A. | 非常に細い針を使用するため、痛みはほとんどありません。 当院では希望により表面麻酔も使用しておりますが、表面麻酔をせずに注射された患者さまでも「痛くなかった」とおっしゃる方がほとんどです。 |
Q. | ボトックス治療で中毒になってしまうことはないのでしょうか? |
A. | ボツリヌス菌は、食中毒なども引き起こす強い毒素を持つ菌として知られておりますが、ボトックス治療では毒素を持つボツリヌス菌そのものを注射するわけではありません。 ボツリヌス菌から取り出された天然のたんぱく質「ボツリヌス・トキシン」のみを使用しており、かつごく少量の菌を菌を注入するものですので、適切な治療をしている限りはボトックス注射によって中毒が引き起こされることはありません。 また、当院では、ボトックス製品の中でも中でも最も安全性が高いと言われている厚生労働省承認のボトックスビスタ(アラガン社)を使用しておりますので、安全性・信頼性においてもご安心いただけるかと思います。 |
Q. | ボトックス注射ができないケースはありますか? |
A. | 下記の状態・症状のある患者さまに対しては、ボトックスによる治療はできません。
妊婦・授乳中の方 |
Q. | ボトックス注射を打ってもらいましたが、すぐに効いてこないのですが…。 |
A. | ボトックス治療はヒアルロン酸と異なり、治療直後から変化があるわけではありません。 表情筋であれば4日から1週間くらいで効果が出てくることがほとんどですが、咬筋のエラに関しては2週間から1か月後くらいで見た目の変化を自覚するようになるかと思います。 |